基幹システム刷新プロジェクトは、失敗率が高いことで知られています。予算超過、納期遅延、稼働後に「業務に合わない」が判明する——システム刷新でよくある失敗の構造は、実はプロジェクトを始める前の段階にあります。なぜ刷新は頓挫するのか。その注意点を現場の視点から整理します。基幹システム刷新のよくある失敗パターン3つ① 現行システムの仕様が把握できず、移行要件が後から膨らむ刷新プロジェクトで最も多いのが、「話していなかった業務ロジック」が移行工程の途中で発覚するケースです。「そういえばこの処理も必要」「実はこっちのテーブルと連携していた」——新システムの設計が固まった後で追加要件が山積みになり、予算と納期が崩れる。追加要件の原因はたいてい、現行システムに埋まっている「暗黙の業務ルール」を刷新前に洗い出しきれていなかったことにあります。② ベンダーへの丸投げで「何を作るか」が曖昧なまま進む「現行システムと同じことができるものを作ってはしい」とベンダーに依頼し、設計書も要件定義書も十分に整備しないままプロジェクトが始まるケースです。ベンダー側も「現行の仕様」を知らなければ安全な見積りも正確な要件定義もできません。結果として、「既存システムをそのままつぎはぎで作り上げたようなシステム」が出来上がり、その後の改修・拡張に大きなコストがかかりはじめます。③ 稼働後に「業務に合わない」が判明する新システムを稼働させて初めて「実はこの業務には対応していなかった」と判明するケースです。新システムに合わせて業務フローを変えようとすると現場の反発が起き、既存システムに戻すに戻せない事態になることもあります。失敗の根本原因:「現行を知らずに新しいものを作ろうとすること」3つの失敗パターンに共通するのは、「現行システムの実態を十分に把握しないまま、新しいシステムの設計に入る」ことです。要件定義の質は、現行理解の深さで決まります。「今のシステムが実際に何をやっているか」「どの業務ロジックが埋まっているか」「移行時に何を持ち越す必要があるか」——これらが明確になって初めて、ベンダーに出せる要件定義書が生まれます。刷新の前にやるべきこと:現行調査※現行調査の具体的な進め方については、「基幹システム刷新の進め方|現行調査・要件定義の正しい順序」で詳しく解説しています。刷新プロジェクトに入る前にやるべき第一歩は、「今のシステムが何をしているか」を把握することです。具体的には以下の3点です。今のシステムが何をしているかを明確にする。業務フローとシステムの対応関係、隠れた業務ロジックを洗い出しておく。どこをそのまま引き継ぎ、どこを変えるかを判断する。全部をスクラッチで作り直す必要はなく、引き継げるべきロジックと変えるべきロジックを分けることが、スコープとコストの精度を上げる。小さな業務ロジックや例外処理がどこに埋まっているかを洗い出しておく。小さな「例外」が移行後に大きな追加工数に化けるかどうかは、現行調査で影響度を見極めておくかどうかで決まります。現行調査がなければ、見積りも要件定義も信用できない現行調査なしに出てきたベンダー見積りも、内部で作った要件定義書も、現行システムの実態を反映していなければ「空中の数字」です。後から「話が違う」となるのは、その点が不明確なままプロジェクトが進んでいるからです。「刷新を検討している」のであれば、まず現行調査を実施するのが、結果として最もコストが低い進め方です。まず何から手をつければいいか迷っている方は、「基幹システム刷新の第一歩|現場で使える準備チェックリスト」をご覧ください。ライクバードでは、グループ子会社・中堅企業向けのシステム現行調査(AI仕様解析)を提供しています。「刷新を検討しているが、現行システムの実態が把握できていない」「設計書がなくて要件定義に行き詰まる」——そうした悩みのある段階からご相談ください。→ システム現行調査(AI仕様解析)について詳しく見る