廃棄物処理業は、「記録」が法的義務であり、経営リスクでもある廃棄物・リサイクル業は、法律による記録義務が厳しい業態だ。何を、どこから、いつ回収し、どう処理したか──廃棄物処理法に基づくマニフェスト(産業廃棄物管理票)の管理は、事業継続の根幹に関わる。 しかし義務として記録しながら、その記録が「使える状態」になっていない会社が多い。マニフェストは保管されているが、検索できない。回収ルートの情報は担当ドライバーの頭の中にある。処理センターの稼働状況は本部からリアルタイムで見えない。 法的義務を果たしていることと、経営として情報を活用できていることは、別の話だ。リスク① マニフェスト管理が紙のまま積み上がり、追跡できない産業廃棄物のマニフェストは、排出事業者・収集運搬業者・処理業者の三者が同じ情報を持つ仕組みになっている。これが紙で運用されると、大量の紙が発生し、保管・検索が困難になる。 「あの顧客の昨年の処理実績を出してほしい」という依頼が来たとき、紙のマニフェストを日付順・顧客順に手作業で探すことになる。顧客数が多ければ、この作業だけで半日かかることがある。 電子マニフェストへの移行が進んでいるが、既存の取引先や小規模な排出事業者との取引は紙のまま残ることが多い。紙と電子が混在した状態が最も管理コストが高い。リスク② 回収ルートと顧客情報が、ドライバーの記憶に依存している定期回収の契約では、決まった曜日・時間帯に同じ顧客を回るルートが組まれている。このルートを熟知しているのは、長年担当しているドライバーだ。 どの顧客が何曜日に何を出すか、進入路の注意点、鍵の場所、担当者の名前──これらがドライバーの頭の中にしかない状態になっていることがある。 そのドライバーが急病や退職で不在になったとき、代替のドライバーが同じルートを回ることができない。顧客に連絡が取れず、回収が滞る。廃棄物の回収遅延は、顧客の業務にも直接影響する。リスク③ 処理センターの受入状況が、本部からリアルタイムで見えない拠点回収→処理センター→管理本部という流れの中で、処理センターの稼働状況・受入キャパシティが本部からリアルタイムで見えないことが多い。 繁忙期や特定廃棄物の大量発生時に、センターのキャパシティを超えた状態になって初めて「受け入れられない」という連絡が来る。すでに顧客に回収を約束している状況で、後から調整することになる。 センターの状況が見えていれば、事前に受入スケジュールを調整できる。しかしその可視化ができていないと、問題は毎回事後対応になる。まとめ──法的義務の履行と、経営情報の活用は切り分けて考える廃棄物処理業の情報管理改善は、マニフェストのデジタル化だけに矮小化されやすい。しかし本当に手をつけるべきは、回収ルート情報の可視化と、センターの稼働状況の共有だ。 どの情報がどこに存在し、誰の頭の中にしかないのかを整理する現行調査が、この業態の改善の入口になる。当社ではまずはどの課題から取り組むべきかを客観的に整理するシステム運用課題診断を提供しています。 こちらもよろしければご覧ください。システム運用課題可視化診断