「このシステム、何とかしたい。でも何から手をつければいいか分からない」——そう感じたまま、数年が経過している企業は珍しくありません。実は、その「どこから手をつけるか」の答えが現行調査です。システム刷新・移行・内製化のどれを選ぶにしても、現行調査なしに始めると高確率で失敗します。何を調べ、何が分かり、どんな判断ができるようになるのかを解説します。現行調査とは「今の状態を見える化する」作業のこと現行調査とは、今稼働しているシステムの実態を網羅的に把握するプロセスです。具体的には次のようなことを明らかにします。 ・どんなシステムが存在し、どの業務で使われているか ・システム間のデータ連携がどうなっているか(例:在庫管理と会計が連動しているか) ・誰が使い、誰が管理しているか(属人化の度合い) ・仕様書・設計書・手順書などのドキュメントの有無と正確性 ・技術構成(プログラミング言語、インフラ、バージョン) 「うちのシステムのことは大体分かってる」と思っている方も、調査してみると「こんな連携があったのか」「これは誰も触ったことがないモジュールだ」という発見が出てきます。現行調査は、その大体を確実に変える作業です。なぜ現行調査をしないと失敗するのかシステム刷新プロジェクトが途中で止まる、あるいは想定より大幅にコストが膨らむ原因の多くは、「現状の把握が甘いまま進めた」ことにあります。 よくあるパターンがこれです。新しいシステムへの移行を始めてみると、「このデータ、実はあっちのシステムとも連携していた」「この機能、使っている人がいた」という想定外の発覚が続き、スケジュールが崩れていく。 現行調査をせずに進めることは、地図なしで引越しの荷物を運ぶようなものです。何がどこにあるか分からないまま動かすから、壊れる。年商100億以下の企業でも、基幹システムの移行に2〜3倍の工数がかかるケースは珍しくありません。現行調査で具体的に何を調べるのか調査の対象は大きく4つです。 【システム台帳の作成】社内にあるシステムをすべてリストアップします。ERPや基幹システムだけでなく、部門ごとに使っているExcelマクロや古いAccessのDBなども対象です。「そんなものがあったのか」という発見がここで出ます。 【業務フローとの紐づけ】各システムが「どの業務」を支えているかを整理します。「受注したらこのシステムに入力して、翌日にあのシステムに転記する」という流れを可視化します。 【依存関係の洗い出し】システム間のデータ連携・API接続・手動転記を含めた「つながり」をマッピングします。最も意外な発見が出やすい箇所です。 【ドキュメントと実態のズレの確認】仕様書があっても、実際の動きと乖離していることはよくあります。「書いてある通りに動いていない」部分を洗い出します。現行調査をするとどんなメリットがあるのか「何を変えられて、何は変えられないか」が判断できるようになるのが最大のメリットです。これがない状態でベンダーから刷新の提案を受けても、その提案が妥当かどうか判断できません。 現行調査を通じて得られること: ・ベンダーへの依存度が明確になる:どこまで自分たちで把握できているか、逆にベンダーしか知らない領域はどこかが分かる ・優先順位がつけられる:全部を一度に直す必要はなく、リスクの高い箇所・改善効果の大きい箇所から手をつけられる ・経営層への説明材料ができる:「このシステムはこういう状態で、このリスクがある」と数字と事実で説明できるようになる 現行調査は「工数がかかる面倒な作業」ではなく、「正しい判断をするための最初の投資」です。まとめ現行調査なしにシステム刷新を進めることは、地図なしで工事を始めるようなものです。まず自社のシステムの全体像を把握し、何が変えられて何は変えられないかを明らかにする。それが、レガシーシステムを変えるための現実的な第一歩です。「何から始めればいいか分からない」と感じているなら、それがまさに現行調査を始めるサインです。まず現状の業務・システムの実態を整理することが、改善の第一歩です。 当社ではAIを活用してシステムの仕様を解析・可視化する「システム現行調査(AI仕様解析)」を提供しています。 システム現行調査(AI仕様解析)についてはこちらhttps://likebird.jp/lp/genkou-chosa