「10年保証」を支える管理が、Excelと紙に依存している新築住宅の瑕疵保険・定期点検を行う形態の企業は、長期にわたる顧客接点を持つ業態だ。引き渡しから2年・5年・10年と続く定期点検、保証期間内の不具合対応、書類の保管義務──一棟の住宅に対して、長年にわたる管理が必要になる。 その管理の実態が、担当者ごとのExcelファイルと紙の点検票に依存していることが多い。 長期保証を謳いながら、その管理基盤が脆弱という矛盾は、問題が顕在化するまで気づかれにくい。理由① 点検記録が紙のまま本部に届かず、履歴が積み上がらない点検担当者は現場で点検票に手書きで記録する。指摘事項、写真、お客さまのコメント──これらを紙にまとめ、後日本部に提出する。 提出のタイミングが遅れることがある。担当者が複数の現場を掛け持ちしていれば、記録の整理が後回しになりやすい。本部が全棟の最新状況をリアルタイムで把握できない状態が続く。 後から「あの物件の前回点検はいつで、何が指摘されていたか」を調べようとすると、紙の書類を物件ごとに探すことになる。棟数が増えるほど、この検索コストは重くなる。理由② 担当者が変わるたびに、引き継ぎの精度が落ちる住宅点検は、同じ物件を同じ担当者が長年見続けることが理想だ。しかし実際には、担当者の異動・退職により引き継ぎが発生する。 引き継ぎの精度は、前任者の記録の質に依存する。「この物件はこういう経緯があって、こういう注意が必要」という文脈が、引き継ぎ書に書ききれないことが多い。 結果として、新しい担当者は過去の経緯を知らないまま点検に臨む。お客さまが「前の担当者には伝えてあるのに」と感じる体験が積み重なる。長期保証の信頼は点検の継続性によって成り立っているが、その継続性が担当者個人の記憶に依存している。理由③ 保証期間の更新・満了管理が、漏れやすい構造になっている10年保証の中には、5年目に手続きが必要なものや、期限内に点検を完了しなければ保証が失効するものがある。この期限管理がExcel台帳で行われていると、棟数が増えるにつれて見落としのリスクが高まる。 Excelは更新を忘れても警告を出さない。担当者が変わればその台帳の存在自体を知らないこともある。保証失効をお客さまに事前に通知できなかった場合、信頼の問題だけでなく法的なリスクにもなりかねない。まとめ──長期管理ビジネスほど、情報基盤の脆弱さが後から効いてくる点検・保証ビジネスは、数年後・十数年後の対応品質が問われる。その品質を支えるのは、今積み上げている記録の正確さと継続性だ。 現行調査で「今どんな情報がどこに存在するか」を棚卸しすることが、この業態の管理改善の出発点になる。当社ではまずはどの課題から取り組むべきかを客観的に整理するシステム運用課題診断を提供しています。 こちらもよろしければご覧ください。システム運用課題可視化診断