「法定点検」という義務が、アナログ管理を温存しているエレベーターや空調設備の定期点検は、法律で義務づけられている。年に一度、あるいは月に一度、点検を実施し記録を残さなければならない。 この「記録を残す義務」が、皮肉にも紙管理を温存する側面がある。法定の書式が紙ベースで設計されていることが多く、「紙で記録して提出する」という流れが何十年も変わらないまま続いている。 しかし法定書式への記録と、社内管理の効率化は、別の問題だ。法定要件を満たしながら、社内の情報管理を改善する余地は十分にある。問題① 点検スケジュールが担当者のExcelに閉じている複数の顧客・複数の設備を担当する点検業では、スケジュール管理が業務の要だ。どの顧客の、どの設備を、いつ点検するか──これを正確に管理できなければ、法定点検の漏れが発生する。 このスケジュール管理が、担当者ごとのExcelや手帳に分散していることが多い。本部が全担当者のスケジュールを横断的に把握できず、「誰がどこに行っているか」がリアルタイムでわからない。 担当者が急病で休んだとき、代替対応ができない。お客さまから「今日の点検は来ますか?」と問い合わせが来ても、本部では即答できない。問題② 異常・指摘事項の対応状況が、追跡できない点検の現場で「要対応」の指摘が出たとき、その後の対応状況を誰が管理するかが曖昧になりやすい。 点検担当者が口頭または紙で報告し、営業担当が顧客に連絡し、修理手配をかける。しかしこの一連の流れが記録化されていないと、「指摘したが対応されていない」「対応済みだと思っていたが未対応だった」という行き違いが発生する。 特に複数の担当者が関与する案件では、誰がどこまでやったかの把握が難しくなる。結果として、対応漏れが後から発覚し、顧客からの信頼を損なう。問題③ 部品交換・修理履歴が設備ごとに管理されていない定期点検だけでなく、部品交換や修理の履歴も重要な情報だ。「この設備は3年前にモーターを交換した」「前回点検で軽微な異常があったが様子見にした」──こうした情報が次回点検時に参照できると、点検の精度が上がる。 しかし多くの会社で、この履歴が設備ごとに一元管理されていない。点検票は紙で保管され、修理記録は別のファイル、交換部品の記録はまた別の場所──これらを照合しなければ設備の全体像が見えない状態になっている。まとめ──法定要件を満たすことと、管理を効率化することは別の問題法定点検の書式は変えられなくても、社内の情報管理は変えられる。現場での記録をデジタルで補完し、スケジュールを一元管理し、指摘事項の対応状況を追跡できる状態にする──これは法定要件とは独立して改善できる領域だ。 今の情報の流れを整理することが、改善の起点になる。当社ではまずはどの課題から取り組むべきかを客観的に整理するシステム運用課題診断を提供しています。 こちらもよろしければご覧ください。システム運用課題可視化診断