家電・PC修理は「診断」から始まる、他の修理業と異なる構造を持つ衣類や靴のお直しは、受付時点でやることが決まっている。「裾を上げる」「ヒールを替える」──作業の内容は最初から明確だ。 しかし家電・PC修理はそうではない。「電源が入らない」「動作が遅い」という症状を持ち込まれたとき、まず診断が必要になる。症状の原因を特定し、修理の方針を決め、費用を見積もってから、はじめて作業に入る。 この「診断→見積もり→修理→返却」という流れが、情報管理を複雑にしている。受付・診断・修理・本部の四者が関わり、それぞれの工程で情報が生まれる。その情報が一つの場所に集約されることなく、工程ごとに断絶していることが多い。理由① 診断・見積もり・修理の記録が、つながっていない受付で聞いた「症状の説明」は、修理票に手書きされる。技術者が診断した「原因と対応方針」は、別の紙か口頭で伝えられる。見積もりの内容はまた別のフォームに書かれ、最終的な修理内容は作業記録として残る。 この一連の情報が、一つの「案件」として紐づいていないことが多い。受付の記録、診断の記録、修理の記録が、それぞれ別々の紙やファイルに存在する。 後日お客さまから「以前の修理でどんな対応をしたか」と問い合わせがあったとき、それらを照合する作業が発生する。担当者が複数にまたがっていれば、情報を集めるだけで時間がかかる。修理の経緯を正確に説明できないことが、クレームに発展することもある。理由② 同じ機器が戻ってきても、前回の記録が活かされない家電・PCは、同じ機器が繰り返し持ち込まれることがある。「また同じ症状が出た」「前回修理したが別の箇所が壊れた」──このとき、前回の診断内容・修理内容・使用部品の記録があれば、今回の診断が格段に速くなる。 しかし多くのチェーンで、前回の記録を引き出す仕組みがない。お客さまが「前に持ってきたことがある」と言っても、どの店舗で、いつ、どんな修理をしたかをすぐに確認できない。 結果として、技術者は毎回ゼロから診断を始める。お客さまは同じ説明を繰り返さなければならない。修理の精度も、履歴があるときとないときで変わってくる。理由③ 法人のPC管理契約が、担当者のExcelに閉じている家電・PC修理チェーンには、企業のPC管理を一括で請け負う法人契約がある。オフィスのPCが壊れたら連絡をもらい、引き取って修理し、返却する。台数が多い企業では、常時数台が修理中という状態になることもある。 この法人契約の管理が、担当者のExcelに閉じていることが多い。どの会社の、何台の、どの機種が、今どの状態にあるか──これを一覧で把握できている会社は少ない。 法人顧客から「今何台預かっていますか?」と問い合わせが来たとき、担当者がいなければ答えられない。担当者が退職すれば、その顧客との取引の経緯が丸ごと消える。法人契約は個人客より単価が高く、継続性も高い。にもかかわらず、管理の脆弱さは個人客の比ではない。根本にあるのは「工程をまたぐ情報設計」がないこと3つの理由に共通しているのは、受付・診断・修理・返却という複数の工程をまたいで情報を管理する設計がないことだ。 各工程の担当者は、自分の工程で必要な情報を自分なりに管理する。その管理方法がバラバラのまま積み重なると、全体として情報がつながらない状態になる。 変えるための出発点は、一件の修理依頼が受付からお客さまの手元に戻るまで、どの工程で誰が何の情報を持つかを書き出すことだ。そこに情報の断絶がどこにあるかが見えてくる。工程図を一枚引くことが、この業態の管理改善の最初の一手になる。当社ではまずはどの課題から取り組むべきかを客観的に整理するシステム運用課題診断を提供しています。 こちらもよろしければご覧ください。システム運用課題可視化診断