2025年以降、「生成AIでレガシーシステムをモダナイズします」というサービスが急増している。COBOLで書かれた40年前のシステムをAIが解析し、現代的な言語に変換する。ドキュメントが失われたシステムを自動でドキュメント化する。そういったサービスが市場に並ぶようになった。「これで解決できるのか?」「自社に使えるのか?」——情報システム部門長や経営企画担当者がこの問いを持つのは当然だ。答えを先に言う。一部は確実に解決できる。ただし、AIモダナイゼーションが最大限機能するには、前提条件がある。AIモダナイゼーションが「やっていること」を整理するAIモダナイゼーションサービスが実際にやっていることを整理する。代表的なものは「COBOL→Javaの構文変換」だ。古いプログラミング言語で書かれたコードを、現代的な言語に書き直す。次に「コードからドキュメントの自動生成」。どのような処理をしているかを文章にする。さらに「テストコードの自動生成」。既存の処理が正しく動くかを確認するためのテストを作る。これらは確かに有用だ。人間が手作業でやると数年かかる作業を、短期間で終わらせることができる。共通しているのは、これらがすべて「コードの形を変える作業」だということだ。コードを読んで、別の形に書き直す。AIモダナイゼーションは、その作業を大幅に速くする道具だ。レガシーシステム問題の本質は「文脈の消失」だと知るここで根本的な問いを立てる。レガシーシステムが危険な理由は、コードが古いからだけなのか。違う。本当の問題は「なぜそう設計したのか」「このロジックはどの業務判断を反映しているのか」「ここを変えると何が止まるのか」という判断の文脈が失われていることだ。例を出す。あるシステムに、一見して意味不明な例外処理が埋め込まれていたとする。AIはそのコードを読んで「例外処理がある」とドキュメントに書く。だが、「なぜこの条件で例外にしているのか」「どの業務上の事情でこうなったのか」は書けない。それは15年前の担当者が、ある取引先との特別な条件のために入れたロジックかもしれない。AIにはその背景がわからない。コードを読める。しかし文脈を再構成することはできない——これがAIの限界だ。AIモダナイゼーションの効果を最大化する条件を知るAIモダナイゼーションの効果を最大に引き出す条件がある。それは「元のシステムを理解している人間が、変換後のコードを検証できる状態にあること」だ。変換前のコードが何をしていたかを知っている人間が、変換後のコードを見て「同じ動きをしている」と判断できる。この検証のプロセスが機能するほど、AIモダナイゼーションの出力は信頼できるものになる。逆に言えば、現行システムへの理解が組織に残っていない状態では、この検証が難しくなる。「誰もシステムを理解していない」という状況は、AIツールの活用可否以前に解決すべき問題だ。これはAIモダナイゼーションサービス側の課題ではなく、前工程として発注側が整理しておくべきことがある、という話だ。正しい順序は「現行調査が先、モダナイズは後」だと知るでは何から始めればいいのか。答えは明確だ。まず「現行調査」だ。コードを読む前に、「このシステムは何を信じて動いているか」を再構成する作業が必要だ。どの業務プロセスとどの機能が対応しているか。過去の改修の経緯と意図。ここを変えると何が止まるかの依存関係。これらを人間が整理し、組織の言葉で語れる状態にする。それが完了して初めて、モダナイズの判断と設計ができる。AIツールはその後工程を速くするかもしれない。しかし前工程を代替することはできない。現行調査をせずにAIモダナイゼーションを走らせることは、地図のない土地をカーナビで走ることに近い。速く動けても、どこに向かっているかが定まらない。地図さえ整えば、カーナビの性能が活きる。AIモダナイゼーション時代に、前工程専門家が必要になるAIモダナイゼーションサービスの増加は、ある意味で良いニュースだ。「後工程を速くする手段」が整備されるほど、「前工程をきちんとやる必要性」が可視化される。当社のようにそうしたアプローチをする企業が増えていくことが望ましい。この大きな社会問題を解決するためにも、もっと多くの企業がこのアプローチをしていくことを望む。当社はシステムの現行調査と仕様解析を専門に支援しています。AIモダナイゼーションを検討しているが、まず現状把握から始めたい。そういう段階のご相談もお気軽にどうぞ。システム現行調査(AI仕様解析)