顧客セグメンテーションとは、一般的な特性(地域、年齢、端末、行動など)に基づいてユーザーをグループに分類する(バケット化する)方法のことです。セグメンテーションにより、ユーザーの特性や行動に基づいてより効果的にターゲットを絞ることができるので、より顧客中心 のアプローチを用いて各セグメントを扱うことができます。顧客の81%は企業が自分たちのことをより良く理解することを望んでいて、マーケティング担当者の94%は顧客のことをより良く理解したいと思っています。また、プロダクトチームの48%は、最善の努力をしているにもかかわらず、ユーザーとそのカスタマージャーニーを十分に理解しているかどうか確信がありません。では、企業が顧客をより良く理解する必要性を明確に認識しているのであれば、なぜそうしようとしないのでしょうか?それは、ユーザーが何を望んでいるかを知るために、ツール・時間・そして最も重要となる、用意周到なセグメンテーションが必要だからです。顧客セグメンテーションを用いて、ユーザーが望むプロダクトエクスペリエンスを構築する方法を見てみましょう。目次ユーザーをセグメント化する理由顧客セグメンテーションにより、チームは価値のあるパワーユーザーの動機付けるものを見つけるとができ、より多くのパワーユ ーザーを惹きつけることができます。 セグメンテーションがなければ、プロダクト開発は直感と推測に頼るものになり、チームは自分たちの努力が報われたかどうかを分析することができません。機能の利用が急増したのは、パワーユーザーの利用が増えたからなのか、それとも全ユーザーによる幅広い採用が進んだか らなのか?チームには思い当たることがあるかもしれませんが、各ユーザーセグメントのデータを分析しなければ、はっきりしたことはわか りません。企業がユーザーセグメントについて深く知ることができれば、ユーザー体験をパーソナライズできます。顧客は直感的で使いやすいインターフェイスを期待しています。したがって、プロダクトが全ての機能を詰め込んだ万人向けにならないよう、プロダクトチームはユーザーについてできるだけ多くのことを学ぶ必要があります。 分野ごとに記事が分類されていない昔の新聞を思い浮かべてください。 文化、スポーツ、外交問題の記事があちこちに散らばっています。野球ファンは昨日の試合の結果を真っ先に見ることはできません。おそらくその新聞は捨てて、スポーツ新聞を探すことになるでしょう。ウェブサイトやアプリでも同様の体験になります。ユーザーは、自分が好きなセクションや必要なセクションを素早く見つけたいと思っています。 特定の機能やページがユーザーから共感・共鳴されている理由を知るには、プロダクトチームは観察するしかありません。さまざまなユーザーセグメントのインパクト分析や実験、バリアンス分析を行うことで、チームは調査をスピードアップし、上手く機能していることを特定できます。また顧客セグメンテーションにより、チームは、各セグメントの特性、行動、興味などを列挙したユーザープロファイルを作成することもできます。プロファイルを使用すると、プロダクトチームは、ユーザーを念頭に置いてプロダクトを開発または改善できます。 架空のフィットネスアプリのユーザープロファイルの例をあげてみましょう。 フィット・フィオナ さん人口統計学的属性: 女性、25~45歳 心理学的属性: サイクリングクラスが大好き 行動: アプリを週に5回以上使用する この情報があれば、フィットネスアプリのチームは、プロダクト分析を使用して、すぐに確認できるフィット・フィオナのユーザープロファイルに当てはまるユーザーコホートを作成できます。新機能について考える際、チームは、このコホートに焦点を当てて、該当ユーザーコホートが新しいリリースにどのように反応するかを測定できます。さまざまなコホートにスコアや重み付けを割り当てて、LTV(顧客生涯価値)を確認して、マーケティングキャンペーンのROIを測定することもできます。どのような顧客セグメンテーションが戦略に活用できるか?ユーザーをカテゴリ分けするのに使用される特性やデータに基づいて、顧客セグメンテーションは次のようなカテゴリーに分類することが できます。 人口統計学的データ:性別、年齢、言語、場所、婚姻状況、収入など 心理学データ:ユーザーの興味、信条、関係、社会経済的地位など 行動データ:ログイン頻度、プロダクトで費やす時間、エンゲージメントレベルなどのユーザーアクション 企業データ:企業版の人口統計学的データ(創業からの年数、従業員数、売上、業界、所在地、ビジネスモデル(B2BまたはB2C)な ど) 技術データ:企業が使用する技術(CRM、マーケティングシステム、ERPプロバイダーなど) 手元にどのようなデータがあるかによりますが、数多くの要素に基づいてユーザーをセグメント化できます。 有料ユーザーと無料ユーザー: 有料ユーザーは、収益性が高いだけでなく、利用目的が明確且つコミットメントレベルが高いため、無料ユーザーよりも維持しやすいです。セグメント化すれば、有料ユーザーを維持することと、無料ユーザーを有料ユーザーにアップグレードすることに焦点を当てることができます。 利用頻度: 利用頻度は、エンゲージメントの状態に基づいてユーザーをカテゴリ分けする優れた方法です。プロダクトを頻繁に利用するユーザーから継続利用する十分な価値を見出します。頻繁に利用するユーザーが気に入っている機能やコンテンツを新規ユーザーに紹介・提供することで、新規ユーザーはより早く価値を見出すことができます。 ウェブサイト/アプリで費やす時間: 通常、ユーザーがウェブサイトやアプリで多くの時間を費やしていることは、そのウェブサイトや アプリが価値を生み出していることを示す良い指標です。滞在時間に基づいてユーザーをセグメント化すれば、どの機能、要素、コンテンツがより高いエンゲージメントと相関するかを見極めることができるため、利用を増やすことにつながる新しいアイデアを見つけやすくなります。 コンバージョン目標: コンバージョンに基づいてセグメント化すると、利用登録/配信登録するユーザーとそうでないユーザーの違いや、商品・サービスを10回購入したユーザーと1回だけ購入したユーザーの違いを確認できます。最終的この情報は、より多くのユーザーをより早くコンバージョンさせる施策検討に使用できます。否定的な行動: すべてのユーザーの行動が肯定的であるとは限りません。お客様がチャーンしたり、ショッピングカートを放棄したり、プランをダウングレードしたりすることがあります。否定的な行動を取ったユーザーをセグメント化し、そうした行動の後に発生した事象(バグの発見や新しい機能のリリースなど)を分析することで、ユーザーフリクション(ユーザーが感じる摩擦)の原因を特定し、全体的なユーザー体験を向上させることができます。 アクティビティの欠如: アクティビティの欠如も懸念材料となる可能性があります。セグメント化を通じて、ワークフロー内の重要なアクションを省略するユーザーや、有用な機能を十分に利用していないユーザーを特定して、そうしたユーザーがチャーンする前にエンゲージメントが高められるように、エンゲージメントを妨げている原因を理解します。顧客セグメンテーションを行う方法 顧客セグメンテーションプロセスは、次の4つのステップで構成されています。 1. ユーザーエンゲージメントを追跡する 顧客をセグメント化するには、ユーザーごとにプロダクトの利用状況を追跡する方法を確立する必要があります。しかし、ユーザー全体を把握することがいつも簡単であるとは限りません。ほとんどのウェブサイトやアプリは、自動的に分析を行うようには構築されていないため、 個々のユーザーとアプリを通じて辿るカスタマージャーニーを追跡することは困難です。ましてや、2つの異なるユーザーセグメントを比較することなどできません。 たとえば、メディアサイトでは、基本的なウェブ解析ツールを使用して、単にページにアクセスしたユーザー数と広告をクリックしたユ ーザー数を確認することはできるかもしれません。しかし、どのユーザーがどの行動を取ったのか?ユーザーは通常どのようなユーザーフローを辿るのか?といったことはどうでしょうか?利用登録/配信登録はしたが、戻ってこなかったユーザーだけを追跡して焦点を当てるにはどうすればいいでしょうか?有意義なセグメント化をするには、メディアサイトは訪問者の特徴だけでなく、その行動によっても訪問者を選別する方法を確立する必要があります。 多くの場合、プロダクト分析ツールを使用することが役に立ちます。たとえば、Mixpanelは、ウェブサイト、アプリ、またはその 両方と統合して、ウェブサイトやアプリが決して取得できない利用状況データを取得します。使いやすいUIが提供されるので、チームは、レポートを作成する、データを分析する、ファネルを追跡する、ユーザーセグメントを定義する、といったことすべ てを1つのプラットフォームで行うことができます。 プロダクト分析を使用すると、このMixpanelシグナルレポートに示されているように、エンゲージメントの高いイベントを特定できます。2. ビジネス上の優先事項に基づいてセグメントを特定する 前述のように、セグメントはビジネス上の優先事項(エンゲージメントなど)に結び付いている場合にのみ役に立ちます。チームがユーザーにどのような行動を取ってもらいたいかわかっている場合、最初のいくつかのセグメントはおのずと見えてきます。 ユーザーに購入してもらうことが目標である場合、1番目のセグメントは購入したユーザー、2番目のセグメントは購入しなかったユーザー、3番目のセグメントは繰り返し購入したユーザーにセグメントできます。アプリの利用を増やすことが目標である場合、チームは、アプリ内で費やした時間に基づいてパワーユーザーとたまに訪問するユーザーにセグメントできます。 セグメントを定義するのにチームが使用することができる指標を以下の通りです。 エンゲージメント/利用 新規顧客の獲得 顧客生涯価値(CLV) リテンション チャーン ユーザー1人あたりの平均訪問数 コンバージョン 重要なユーザーマイルストーン プロダクト分析ツールを使用すれば、チームは、より迅速にセグメントを作成できます。たとえば、Mixpanelは、追跡する必要のある指標を把握できるように、ウェブサイトまたはアプリ内で発生するインタラクションを追跡して、最も頻繁に発生するイベントを特定します。 3. プロダクト分析を使用してレポートを生成する チームは、さまざまなユーザーセグメントのレポートを作成、保存、共有して、各セグメントが重要指標にどのような影響を与えるかを確認できます。プロダクト分析ツールを使用すれば、以下レポートを簡単に生成できます。 有料ユーザーと無料ユーザーの利用を比較する ソーシャルメディア経由で獲得したユーザーのリテンション率を測定する Mixpanel 無料トライアル期間中に実行されたアクションのうち、ユーザーが購入に至る可能性が高いのがどれかを見極める。新しい機能のリリース後に利用が増えたかどうかを確認する このMixpanelインサイトレポートは、チャネルとインテグレーションの機能が以前ほど頻繁に使用されていないことを示しています。つまり、顧客フィードバックとして注目すべき点です。 4. ユーザーセグメントに基づいた改善を加える 顧客セグメンテーションは、プロダクトロードマップの見直しにとても役立ちます。例えば、ユーザーセグメント同士を比較したり、特定のセグメントをユーザー全体と比較してみると、見えてきた相違ポイントが価値提供につながるヒントになります。たとえば、フィットネスアプリの場合、最も価値あるユーザーが、平均的なユーザーよりも頻繁にプロフィール設定を行っていることが判明するかもしれません。そうした情報に基づいて、チームは、すべての新規ユーザーが確実にプロフィールを設定するオンボーディングフローに変更し改善できます。 金融系サービスアプリの場合、セールスが創出したリード(見込み客)からコンバージョンしたユーザーが、セルフプロビジョニングしたリードよりも大きなLTV(顧客生涯価値)を持っていることが判明するかもしれません。あるいは、ソーシャルメディアアプリの場合、モバイルアプリをダウンロードしたユーザーの定着率が2倍であることが判明し、モバイルユーザーを増やすためにウェブサイトにてモバイルアプリのダウンロードを促すことができます。最終的にセグメンテーションは、優れたプロダクトを生み出すことを可能にするインサイトを導き出してくれます。 顧客セグメンテーションを開始する準備はできましたか? パーソナライズ化がプロダクトの長期的な成功の鍵となる顧客セグメンテーションは、ユーザーに必要なものを提供する最良のツールです。今こそ次のような問いをするときです!『 ユーザーは誰か、何を望んでいるのか、それをどのように提供することができるか? 』出典ユーザーセグメンテーション:お客様を理解するためのガイドChristopher Gillespie(Writer @ Mixpanel)